qoonelcodeさんによるテキサス大学オースティン校(UT Austin)のコンピュータ修士課程に進学した話を読んで、同窓生がいた嬉しさと共に、自分のケースも共有することでなにか役に立つかなと思ったので書いてみます。

まずは自分の簡単なバックグランドから:

  • 10年以上前に日本の大学(理系)を卒業
  • ソフトウェアエンジニアとして10年以上の経験あり
  • アメリカ在住2年目

UT AustinのMSCSを選んだ理由

学部生時代は、大学院の選択肢は自分の中に全くありませんでした。大学院に進んで勉強したことは当時の自分にはありませんでしたし、「第一希望の就職先から内定をもらったし早く働き始めたい」と考えていたからです。

就職してしばらくした頃に、オンラインでアメリカの大学院に通うことができると知り興味を持ちました。ですが、英語が壊滅的にできなかったため(大学卒業時に受けたTOEICは300点でした)、TOEFLの基準を満たすための準備が大変で、モチベーションが上がってはTOEFL対策をし、でも途中で他のことに興味が出てきて中断する、を何年も繰り返していました。そうこうしているうちに、12年以上のデータベース一本のキャリアが出来上がっていました。データベースという一つの強みを持てたのと同時に、他の分野も他の分野も学んでみたいという気持ちが強くなってきました。キャリアの幅を広げるきっかけになると良いなとも思いましたし、色々な方向に知見を一度広げてからデータベース業界に戻ってくることも自分を成長させるうえで魅力的な選択肢だと思いました。

様々な学校を検討しましたが、私が重視した点は以下の通りです:

  • 理論や数学がしっかり学べる
    • 自分に全く知見がないAIの分野を理論から学べる所も◯。
  • 学費が安い
    • 全部で$10,000なのはアメリカの大学としては格安。
  • オンラインコースがある
    • 通学することも検討したのですが、仕事しながらは無理だと考えました。

出願準備(成績、英語、SOP)

GPA

学部生時代の成績は専門科目であれば平均でGPA 3.9くらい(全体で3.7くらい)だったのでクリアしていました。

一方で、Algorithms and Complexity (CS331)に相当する科目は履修していなかったり、学部生時代に履修した科目では微妙にカバーしきれていない点は懸念でした。しかし、PostgreSQLの開発において、Vacuumや論理レプリケーションの最適化をする際に、色々なデータ構造やアルゴリズムの比較を行った実績を具体的に記述することで、「アカデミックな単位はないが、実務レベルで同等の知識はある」とアピールしました。

英語

TOEFL対策は色々試したのですがどれも続かず、その間にTOEFLの試験内容も変わっていってしまいとても苦戦しました。未だに自分にあった学習方法やリソースが見つけられていません。自分の実力を測ってみようと久しぶりにTOEFLを受けてみたら基準点を超えていました。実務で英語を使っていたおかげで、自分でも気づかないうちに力がついていたのかもしれません。また、TOEFLの基準点は79点以上(またはIELTS 6.5以上)なので、他のCSオンライン修士コースよりも低めです。

業務では英語を使いながら少しずつ上達しています。まずは自分の今の実力を知ろうと、久しぶりにTOEFLを受けてみたら運よく基準点を超えていました。

Statement of Purpose (SoP)

ChatGPTを壁打ち相手に使いながら、これまでの実績をアピールしつつ、なぜUT Austinに入りたいのか、そしてUT Austinで得る経験を将来にどうつなげたいのかを書きました。自分の場合は、PostgreSQLにAdaptive Radix Treeを実装した経験を通してデータ構造や仕組みを理論から理解することの重要性を感じた事、そして、経験則だけでなく、体系的なコンピュータサイエンス(CS)の理論を学ぶことで、アカデミアの研究と産業界の実装を両方がわかる人になりたい(アカデミアにも還元していきたい)、といった旨を書きました。

最後に

1月から始まった春学期では、以前から取りたかった理論系の科目「Automated Logical Reasoning」を履修しています。この授業をやりきった後、データベースの見え方が少し変わったり、何か新しいアイデアが生まれたりするかもしれないと思うと、今からとても楽しみです。

英語へのコンプレックスや、10年以上のブランク、そして仕事・育児との両立など、不安要素は数え切れないほどありましたが、一歩踏み出してみて本当によかったと感じています。まだ始まったばかりですが、「理論を学びたい」という初心を忘れず、卒業目指して地道に頑張っていこうと思います。興味があればぜひ海外大学院のオンラインコースに出願してみてください。また、質問があればDMください。